回転寿し、スシローへ行ってきた。


2011.05.22、


前略、

何かの縁で女房と回転寿司のスシローへ行ってきた。

回転寿司へ行くのは何年ぶりだろう。

そうだ、そうだった、大凡三十年ぶり位ではないか。

若かった頃、義理の父母に孫を見せに行った帰路、義母がよく奢ってくれた。あの頃は我が人生最大の貧困期で、あれが自分が食する唯一の馳走だった……。


今日は、その三十年の空白を乗り越えて出向いたわけだが、最初は緊張してしまった。

店内に入ると、カウンターではなく列車の六人掛けみたいな座席に案内されたが、何が何だか解らない。

取り敢えず周囲を見渡すと、子供連れから前期高齢者の夫婦までいろいろだ。タッチパネルが取付けてあって、ボタンを押すとブツが流れてくる仕組み。流れ着く時、「間もなくご注文の品が……」と備え付けのスピーカーからアナウンスが流れる。

価格は皿に依って変化があるわけではなく、何れも@105-。


段々要領が理解出来てきたら、女房のはしゃぐ事、はしゃぐ事。

女、「わあー、おもしろーっい、どうやって頼むの?」

吉、「知らねえよっ!」

女、「ねえ、あれはなあに?」

吉、「知らねえよっ!」

女、「アンタは、何頼むの?」

吉、「知らねえよっ!」

女、「お茶はオジさんが入れにくるんじゃなくて、自分で入れるんだ、アハハっ」だって……。

…………、

面倒なのと恥ずかしいのとで、段々無口に成る……オレ。

然し、時は流れ、発注も板についてきたら段々と気分もホグレてきた。

そう言えば人形町の鮨屋は閉店したし、行きつけの本八幡にも随分とコイツを連れて行ってない。

こんな困窮生活の時に、鮨屋へ連れて行って欲しい、なんて言われたら困ってしまうもんなあ。だから、ワザとはしゃいでくれてるのかなあ?

そんなアイツの心情が嬉しくて、ついつい食ってしまった。

平目の縁側を中心にオレが14皿、女房が8皿、それに汁物を各1椀。

女房に払いをさせたら、モスバーガーより安かった。

いやはや、若い頃に戻れたようで、いい時間だった。

また、行く……。


吉右衛門。



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