「三年ぶりに会った福田う太郎はきれいになっていた」の巻、前編。


新宿を起点に西へ向かう私鉄がある。

この日、私はこの電車に揺られていた。

愛しの、福田う太郎と会うためだ。


彼女が寿退職したのは、2011年の春。

あれから三年の歳月が流れた。

その彼女と、やっと今日会える。

楽しみであるが、緊張もある。

どのような顔をしてよいのか、わからないのだ。

目的地までの数十分。

必然的に思考は、彼女へ流れた。


彼女がうちの事務所に在籍したくれていた間、

彼女を中心に職場は廻っていた。

今の言葉ではセンターとでもいうのだろう。

押しも押されぬリーダーであった。

そして私のサラリーマン時代から数えて、

三代目の女房も務めてもらっていた。

昨年夏。

ペンキ屋が海外へ巣立つとき、

私は彼女と画伯に餞別のひと言を頼んだ。

彼女は出産を直前に控えて大変な時期であった。

しかし、彼女は可愛い後輩の為、快諾してくれた。

そんな奴なのだ。

明るくて優しい性格なのだ。

その彼女の性格に私は無論のこと、職場は随分と救われた。

それとカラオケが好きで得意な曲は、「今さらジロー」であった。

そんな彼女との思い出が走馬灯のように脳裏を駆け巡ったとき、

目的の駅に着いた。


偶然であろうか。

電車をおりると、彼女との再会に花を添えるように、

彼女が在職中に体を張って頑張ってくれた物件の、

ポスターが幾枚も所狭しと貼ってあった。

このことが、センチメンタルな私の心を揺さぶった。


この階段を登った改札口には彼女が待っている。

そう思うと足が竦んだ。


続く。


お仕舞い。


2014年05月02日(金)。

吉右衛門。


次回は、

「三年ぶりに会った福田う太郎は奇麗になっていた」の巻、

後編です。

近況写真も掲載します。



コメント / トラックバック4件

  • hikoukigumo:

    吉右衛門さまの文章はいつもですが、
    まるで小説のようですね〜
    再会の続きがたのしみです。

  • 白鳥ダンク:

    いいところで…!
    続きが気になります!
    次回も楽しみにしております。

  • 吉右衛門:

    飛行機雲さま

    こんばんは、吉右衛門です。
    書き込みありがとうございます。
    続編は昨夜更新しました。

    また、皿鉢料理を食べに行きましょう。

    今月の映画評、楽しみにしております。

    吉右衛門。

  • 吉右衛門:

    ダンクさま

    続きは大したことはないです。
    このような素敵な方が在籍していた事を、知ってもらいたくて取り上げました。

    いつか来社される日もあるかと思います。
    その時にはいろいろと訊いてみてください。

    吉右衛門。

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