2014年10月28日 のアーカイブ

「ペンキ屋が帰ってきた」の巻。下編。


日本橋人形町。

オートンから降りて交叉点に立った。

お彼岸を過ぎて一ヶ月近く経つと日は暮れている。

間もなく、待合せ時間だ。

彼女は来ているのだろうか…。

彼女の出で立ちは個性的だ。

私の視力でそれを捜し出すのは難しかった。

そこで電話を片手に握りしめていると、「社長!」。

何処からともなく、彼女が現れた。

まばゆいばかりの、笑顔であった。

髪の毛はまっ黒で、奇麗にとかしてあった。

服装はシックであか抜けていた。

灰色のニットと黒のスカートの調和がとても似合っていた。

ひと廻りもふた廻りも奇麗なお姉さんになっていた。


店に着いて向かい合うと、幸せ感がこみ上げてきた。

彼女は笑顔も喋り方も以前と同じだった。

そして、いろいろな話をしてくれた。

文化から始まって、生活様式、言語、国境、人種…等々。

話は多岐にわたっていた。

私のように少年期から青年期を、1$=360円の時代に育った古い世代にとってはどの話も新鮮で面白かった。

同じようなことを何度も訊き直して説明してもらった。

私のピュアで小さな胸は、ワクワク感で埋め尽くされた。


鍋が出てきた。

すると彼女はすかさず腕まくりをして給仕を始めた。

お姉さんになったものだ。

それを言うと、あちらでは炊事が必需だったという。

彼女は一年の間に多くの事を学び、体験出来たのだと思う。

まさに人生の宝物を得て帰ってきたのだ。


何から何まで楽しい夜を過ごさせもらった。

このようなお嬢さんが社内にいたのかと思うと胸が熱くなった。

どうもありがとう。


お仕舞い。


2014年10月26日(日)

吉右衛門


※時間の関係で下書きのままでの更新となっております。

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も寛大にご処理くださいませ。


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