2017年12月1日 のアーカイブ

ひこうき雲のシネマメモ(^26^)


本を選択する時もそうなんですが、

不思議なタイトルには興味を惹かれます。


今回はタイトルを聞いて、

ム!?洋画っぽくないなぁ・・・絶対見よ!と思った映画、

「ものすごくうるさくて、ありえないほど近い」です。


邦題に優れたセンスを持ってきたのかなと過信したのですが

なんと原作小説のタイトルを、ほぼそのまま

(EXTREMELY LOUD & INCREDIBLY CLOSE)だそうです。


このタイトルに明確な意味はないのですが、

不思議とこの映画を見ると、なんとなくこの不確定な題名が

しっくりくる・・・という感じがするのです。



ストーリーは、9.11同時多発テロの事件を発端に、

世界貿易ビルセンターで働いていた

父親を亡くした男の子の話です。

事件は2001年に起こりましたが、

小説はその4年後に出版されています。


主人公のオスカー・シェルは

アスペルガー症候群の素因があると診断された男の子です。

こだわりが強く、思ったことは口にして説明をしないと気が済まない。

知らない人と話すことや、電車やバスに乗ることなど苦手なことが

人よりとても多くあります。


そんなオスカーがお父さん(トム・ハンクス)亡き後、

クローゼットで見つけた

「ある鍵」の持ち主(鍵が開く扉の在り処)を探し

ニューヨーク中を探索する・・・という流れです。


このお話の核となる部分は勿論観る人

それぞれで捉え方が違うと思いますが、

個人的には、9.11の事件でもなく、

父親の死をどう乗り越えるかでもなく、

「突如として起こった理不尽な出来事への不安感」

を非常に上手く描いているところだと感じます。


物語のはじめに、

お父さんのお葬式をするシーンがあるのですが

そこでは、遺体の見つからなかった為「空の箱」を埋葬しているんです。

オスカーはその行為にとても憤りを感じていて、

理解ができないとお母さんや周りの大人たちに批判の目を向けます。


まあ、オスカーくんは基本的に

眉間にしわを寄せた顔でいるのですが・・・(笑)


彼の性格的にも、曖昧で不安定なことに対する

不信感みたいなものが人一倍強いのだと思うのですが

その不安が爆発した時の、演技たるやこれがデビュー作とは

思えないほどの剣幕でびっっくりしました・・・。


その不安爆発まくし立てシーンも好きなのですが、

先日ブログを書くにあたって映画を見直したところ、

お父さんがWTCから電話をした、6回の留守番電話のシーンが

ものすごく心臓を掴まれました。


オスカーくんは、この留守電を

お母さんにも聞かせることなく隠してしまうのですが

それはお父さんの最期のメッセージを聞きたくない為・・・ではなく

もっと哀しい出来事が彼を苛んでいたからなんです。

これが、本当に、つらし・・・泣きました(;”;)



-『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』★★★★★


でも結構救いようのある終わり方をするので、

いわゆる感動ものに値するとおもいます!


テーマ的にほのぼのというよりかは、

とても皮肉めいていて笑えます。

電車でデカすぎるガスマスクをかけて乗るところとか。

当人は必死なのですが、それがとても愛らしいんですよ。


この事件当時のことなのですが、

日本時間深夜にたまたま付けたテレビに

建物に突っ込む機体の映像が映っていて、

ぼんやり、映画のワンシーンかな・・?と思ったことを覚えています。

なので、翌朝のニュースでこの報道が繰り返し繰り返し流れているのを見て

あれがリアルタイムで起きていたことだったのに

ようやく気付き、ハッとしました。


今も尚、たくさんの方のご冥福をお祈りしたいと思います。



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