2017年8月7日 のアーカイブ

「怪獣捕獲ゲーム、怪鳥を捕まえたの巻」、続編。


スーパーマーケットに着いてからも未練がましく、

スマートフォンを片手に近所の出現情報を探っていると、

またも怪鳥が出ているのに気がついた。

オット! こうなるとチキンどころではない。

ここから出現地点までの推定距離は、三百米。

先ほどの教訓から急がねば後の祭りにもなりかねない。

さて、どうする?。

駐車したばかりの愛車で駆けつけるか。

いやいや、それはダメだ。

駐車場を出るのに手間取るし、

何より現地に車を停められる保証がない。

そう考えると、曇り空とはいえ、このムシムシする中を、

巨体を揺すっての駆け足で急行するしかない。

走ることには甚だ自信はないが、

この千載一遇の好機を逃すわけにはいかない。

こうして外に出ると、嗚呼、天は我を見捨てず!

そこに一台のオートンが停車したではないか。

有無を言わさず後部座席に乗り込むと、

「運転手さん! この先の携帯電話屋まで行ってちょうだい」

「え?  お客さん。あそこまでなら歩いたって五分くらいですよっ!」

「事情があって急いでいるのよっ!酒手を弾むから頼むよ!」


現場に到着。

いるいる。同業者が携帯電話屋の前にひしめいている。

オートンを飛ばしてきた甲斐があった。

早速、チケットを差し出し仲間に入れてもらうと、

そこには大きな鳥が翼を広げて威嚇していた。

こいつに立ち向かうのか…。

甚だ自信はないが、俺も男。やらねばなるまい。

蛮勇を奮って、我が精鋭を並べて突入してみたものの、

次々に倒され残すは緑色の恐竜だけとなった。

が、多勢に無勢。最後は数の力で押し切った。


しかし、問題はここからだ。

これから始まる捕獲ゲームで何としても、この大きな怪鳥を、

白いカプセルボールの中に封じ込めねばならない。

わたしにそのようなことができるのであろうか。

実はわたし。

このゲームを始めて、間もまく一年になろうとしているが、

捕獲の絶対条件であるコントロールはままならないし、

曲がり玉を操ることなど、夢のまた夢。

おそらく、この手の遊戯は日本で一番、下手かと思う。

そのわたしが、九つ支給されたボールを投げ出した。

ひとつ、ふたつ、みっつ…。そしてよっつめに投げたボールが、

偶然にも飛び回って威嚇していた怪鳥の着地点に

重なり合うかのように落下した。

とりあえず、怪鳥をボールに入れ込んだ。

ここで飛び出してこなければ、一件落着であるが、

そうは問屋がおろすかどうか、緊張の瞬間が始まった。


クルっ、クルっ、と、ボールが回り出す。

ゴクリっ!、と生唾を飲み込み見守るわたし。

もう一度回るとハッピーエンドでるが、果たして…。

クルっ。

怪鳥が出てくることはなかった。

やった! 捕まえた! 本懐を遂げたぞっ!。


脳天に突き刺さるほどの快感だった。


お仕舞い。


17年8月6日。


吉右衛門。未校正につき、誤字脱字、乱筆乱文をお許しください。


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