ひこうき雲のシネマメモ(^6^)


暑いですねー。ついに8月も後半となりましたねー。

軽く、夏休みのおはなしにそれますと、

今年は遠出はせん!と心に誓い、軽井沢にちらっと足をのばしました。

9日の寒々しい日をみなさま覚えておられますか!!台風です!

朝から地獄のように寒かったです!!!!避暑すぎて、なみだ。


わたしの夏の悲惨話はそれくらいにして。


暑い夏に、ひんやりとした映画です。

わたくしこの映画が余すところ無くタイプなのです。

恩田陸さん原作の「木曜組曲」。

この話には、6人の女性以外、ほぼ出てきません。


そのうちの一名は、4年前に既に薬物死しており、

それから毎年“木曜日”を挟む3日間、

彼女を偲ぶ会を故人が住んでいた館でひらき、

旨い酒と豪華な料理を囲っています。


面白いのは、彼女たちは皆どこかしら血の繋がりのある関係で、

亡くなった女性を含む4人は、

趣きの違った物書きを生業としている女たちであり、

ひとりは出版プロダクションの経営者、

残りのひとり(彼女だけは血縁関係にありませんが)は、

亡くなった彼女の担当編集者であるというところです。


そして演者が超どストライクってやつなのですが、

浅丘ルリ子さま、加藤登紀子さん、原田美枝子さん、

鈴木京香さん、富田靖子さん、西田尚美さん、です。

どうですか!!!?!(興奮です。いくらかかったんでしょう)


例年通りの御馳走がふるまわれた、集会。

そこに第三者から届いた謎の花束にかかれたメッセージにより、

今年の会は急展開をむかえることになります。


そのメッセージの内容は、

女流作家 重松時子(浅丘ルリ子)の死は

毒薬による自殺ではなく、あなたたち五人のなかの

誰かによる他殺なのだと仄めかすものでした。


食事会の空気は一気に重く冷たいものになり、

彼女たちは互いを疑いはじめます。


えっ、また殺人事件とか起きちゃうんじゃないの?と思った方。

そうは問屋が卸しませんよーー!(笑)(使い方あってんのかしら。)


この映画のなんとも奇妙な点は、

女性特有ともいえるのでしょうか。

話の飛躍に伴う空気の変わり様なんですよねー。

あんたが怪しい!なんて話をしてたのに、「そんな話をしてたら、お腹がすいたわー」とか言い出して、みんなで夜中にミートソースパスタを作り出す。

とにかく料理が美味しそうなんです。

美女たちはワインもビールもばんばかあけます。(笑)

時々タバコを嗜み、様々な会話が飛び交うなか、

彼女たちはいつも、亡くなった女流作家の影にとらわれています。


故人は、みなの憧れであり、憎悪の対象であり、

誰しもが、才能のある彼女に認められたいと思っていた。

やがて、5人の女たちは口々に、

「彼女は私が殺したのだ」と言い始めます。


この映画はリアルとは到底かけ離れています。

芝居であるという意識的なものが雰囲気をつくりあげていると思います。

良い響きではないですが、胡散臭いほどに画面の向こう側を感じます。

日常的なのに、そう感じさせない空気がとても好きです。


彼女たちが出した結論はなにか。

3日目の朝に彼女たちは、それぞれの空想のなかに

その経緯を投じ、最後の朝食を食べています。

「結局のところは、ほんとうのことは分からない」

そう、互いに和んだ最中、編集者であった女性は

自分以外の4人の女に、

もうそろそろ、死んだ時子のことをテーマに

小説を書いてみないか?と持ちかけます。

このとき、編集者であるこの女性は

4人の女たちが断るはずがないことを確信しています。


彼女たちは、恐怖で断れないのではなく、

「書きたい」という作家の欲望から、

また、他の人が書いたものが、読みたいという動機から

満更でもない様子で、帰っていきます。

来年の宴会にて、4人のうちの誰かの物語が

読めるであろうことを楽しみにしながら・・・・。



事件が起こり誰が犯人か、だけが

ミステリーでないことを思い知らされますね!

若き4名の女性もさることながら、

回想にしか出てこないのに、異様なまでの力量の差を魅せ付ける

浅丘ルリ子さんは、まさにはまり役でした・・。

徐々に書けなくなり、苦悩で狂っていく様すら美しいーー!

そして、一歩引き目線で落ち着きはらった

加藤登紀子さんの静かな目は、お芝居が本職なのではないか!?と

思わせる程、貫禄たっぷりでした。

余談ですが、先日登紀子さんの歌う『難破船』を見て、シビれました。

明菜さんの歌っているものは元は彼女がつくったものなんですね!

どういう風に年を重ねたら、ああいう美しい人になれるんでしょうー。はあー。


大好きな台詞があるんですけど

『小説に答えなんてない

私の小説には余韻が残ればいいの

私はなにも名前を残したい訳じゃない

ただ、なにも余韻を残せずに終わるのが たまらなく嫌なのよ』


この話のすべてを表現した台詞だなあと。

こういう情緒って、独特ですよね。

なんか、繊細だと思います。

答えをひとつにすると、ときどき下品ですから。


他に余韻を感じた映画で思い出すのは

北野武さんの「HANABI」ですねー。

これもいつかは書いてみたいです。



-『木曜組曲』★★★★★


邦画で好きなのって特別ないんですけど、

これはベストスリーをつけたらいれたいくらい好きかもしれないです。


次回はまだ何にしようか決めていないので、

しばしお待ちを。

よろしくおねがいしまーす。




コメント / トラックバック2件

  • 吉右衛門:

    飛行機雲さま

    難破船のよさがわかりましたか。
    あの曲は加藤登紀子さんが明菜さんに歌唱の依頼をしたようです。
    本当に素敵な歌です。

    「HANABI」の岸本加世子さん。
    たしか、オーデションですね。
    大杉蓮さんの出世作でもあります。
    久石譲さんの音楽も含めて、あれはよい映画でした。

    吉右衛門。

  • hikoukigumo:

    吉右衛門さま

    たしかTBSで放送されていたのですが
    独特の低い歌声で、うわぁ〜もっと聴いていたい!と思わせる
    何かがありました。

    「HANABI」は本当に見ておいて良かったと思う映画でした。
    岸本加世子さん、素敵でした。是非また見たいです。

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