「栄冠は君に輝く」の巻、前編


わたしの野球観戦歴は長い。

いつの頃からこんなにも好きになったのかを辿ってゆくと、1962年の大毎オリオンズとの開幕戦に行き着いた。


1962年…。

遠い昔である。指を折って数えてみると、かれこれ半世紀以上の歳月が流れている。


贔屓球団は東映フライヤーズ(現北海道ニッポンハムファイターズ)。ファイターズになる前のフライヤーズの後期は、わたしの人生で最も血気盛んな時代。関東近郊での試合のすべてを生で観戦していたし、それだけでは飽き足らず、私設応援団にも入れてもらって本拠地、後楽園球場(現東京ドーム)で球団旗の大旗を振りながら声を枯らしていたことさえもある。それだけに己でいうのも何だが筋金入りのファイターズファンである。


いきなりプロ野球の話から書き始めたがこれからマウスを動かす高校野球はというと、こちらの方は大したことはない。生で観たのは高校時代に母校の応援に神宮球場へ駆けつけていたのと、家族旅行で郷里の高知に行った折、春野球場で決勝戦を観戦したくらいで、あとは本大会に出場した高知勢をテレビの前で応援するくらいだった。しかし御多分に洩れず、かつては野球王国として名を馳せた高知県も近年は越境入学選手を主流とした私学の独壇場と化し、こちらの方の熱は冷めつつある。


その高校野球に今年は久方ぶりに高知商業が本大会に出場する。で、その動向に気をかけていると決勝戦がわたしの関西旅行に当たることに気がついた。高知商業が決勝戦まで勝ち残るか否かは別として、俄かに決勝戦を生で観戦したくなった。


しかし、そうは問屋が卸してくれない。近ごろ世情に疎くなったわたしは、まったくもって甘く考えていた。高校野球の人気が近年加熱しているとは知らなかった。それを知ったのは日課としている朝のラジオ体操の時。周囲との雑談の中で入場券の入手が困難であることを知るに至った。これには驚いた。もっと早く知っておれば手を打っておいたものと悔やんでも仕方がない。そこで遅ればせながら残り少ない入場券の入手方法を調べてみると、二日前にネットでの販売があるという。もはやこれに賭けるしかないが困ったことにその日は関西へ移動する日でもあるのだ。それでは、と二人の方に購入の代行を依頼したが、日頃の素行の悪さが祟って新幹線を待つ東京駅に(悲報)が届いた。


ダメであったか…。

これによって決勝戦を観戦する計画は、あえなく泡と消えた。


後編に続く。


平成30年9月24日

吉右衛門



コメント / トラックバック1件

  • naunau:

    吉右衛門様の野球の歴史は、1962年に遡るとは!
    こんなに長いあいだ好きでいられる事があるのは素晴らしいですね。

    甲子園は、野球のルールがよくわからない私でも
    ついつい見てしまいます。
    とんでもない大逆転が起こると興奮します!
    試合の最後、負けたチームの選手が泣いているのを見ると
    こちらも目が潤んでしまいます。
    そんな試合を私も一度は観戦してみたいです(^^)

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