新宿での真っ昼間、彼女のこと思い出した、の巻。


突然ではあるが、

オレには交際をはじめてから

そろそろ七年目になろうかという、彼女がいる。

今し難、つい彼女と書いてしまったが、

彼女との間に不貞は存在しない。

もし、誰かにその関係を尋ねられれば、健全と答える。

会いたく成れば、いつだって会えるし、

食事に誘っても、断わられることはない。

そして、いつも愉しい時間と空間を創ってもらえている。

そんな彼女との出会いを少しだけ書く。


今日の昼下がり、

新宿の雑踏のなかで、腹の虫を満たそうと彷徨っていた。

スタッフと14時半に戻る約束をしていたので、割と時間はない。

そんな時、突然、彼女と数年前に食事をしたことを思い出した。

そうだ、あの日から始まったのだ、と。


2006年の初夏、

オレは或る紹介者の処へ彼女を迎えにいった。

「岩村(オレの本名)です、彼女を迎えにきましたっ!」

そう、告げると

奥の方から彼女が現れた。

初対面ではなかったが、まあ初対面みたいなものだ。

上下黒のスーツを着ていた。

緊張していたのかもしれないが、それが瑞々しかった。

一生懸命笑顔を作ってオレを迎え入れてくれた。

そんな彼女を、食事に誘った。

誘った先は、新宿高島屋の「つばめグリル」であった。


その店へ、暫くぶりに行ってみるか。

そう思うや、直ぐに懐かしの場所へ赴いた。

そして、ハンバーグを依頼して、

あの時の事を頭のなかの隅っこまで探してみた。

すると、いろいろなことが思い出されてきた。

食したのは今日と同じ、ハンバーグ。

席は忘却したが、話題は夏の高校バレー部の事だった。

沢山練習したこと、1年生でレギュラーを掴んだこと、

最後の夏は勝ち進んだものの、負けてしまったこと、

悔しくて寂しくて、いっぱい泣いたこと…。

そんなことを、自己紹介代わりに話してくれた、

あの頃のあいつは、未だ少女の匂いが漂っていた。


オレは、そんな彼女が可愛くて、いろいろな処へ連れ廻した。

はん亭、鳥繁、巨牛荘、みかわ、プレジール…。

あとは何処に出掛けたのだろう。

霞ヶ浦、富士五湖、それと八王子の山の中にも行った気がする。

そうそう、真夜中に彼女を送って行ったら、

愛車のチョロQが動かなく成って往生したこともあった。


……、

そんな彼女の誕生日が、今年も直ぐそこまで迫ってきた。

ということは、数えて7度目の誕生祝いを贈ることになる。

7回も時を重ねると少女の面影はなくなり、女になる。

女になれば……、

悲しくなるから、もうヤメる。


昨秋の入院以来、どうもいけない。


吉右衛門。


次回は、

「恩田スミレ、真夜中の疾風」、の巻です。


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