吉右衛門へら鮒釣り2015

  2017年◎第六回釣行
7月 03日(月)。

西湖。
根場エゴ、中央のブイ
西湖レストハウス。
天候/晴天、弱風のち中風。
水色/澄み。 

「いったい朝の高揚感は何だったのか」の巻。

今年は西湖も例外なく水が少ない。
それを実感したのは愛車を浜に駐めた時。わたしがお世話になっている根場のレストハウスさんには車をバックで浜の水際に向けて駐車する決まりがある。その時、いつもよりタイヤひと転がし分くらい後ずさりしたような気がした。それが気になり傍で舟を並べているご主人に窺うと、岸辺を指差し、本来はあそこの露呈している大きな岩が没しているとの説明を受けた。ということは減水幅は1mといったところか。
それが影響してか、今はあまり釣れていないらしい。
また出立前に立寄った釣具屋でも両の釣り鈎に団子を付けての釣りは、魚の経験値が増してきて餌を合わすのが至難、とも聞かされてきた。それだけに苦戦は覚悟のうえだが、こうして、いざ実際に来てみると、やはり前評判通りの難解な釣りになりそうだ。
さらに悪いことに、今朝はあまり体調がよろしくない。昨日、ちょっとしたバタバタがあって、充分な休息を取れずにいたツケが出てきたようだ。
しかし、この日を待ち焦がれていただけに、意気は軒昂。出舟が待ち遠しくて仕方がない。今日こそ過去に越えるられずにいた喉ッ首の先まで進出して、本湖に向かって竿を出すのだ。
そんな期待に胸を膨らませんていると、ご主人が曳舟の希望者を募りだした。

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曳舟風景。

いつものことだが舟を曳かれて漁に出る時の、得も言われぬ高揚感はなんだ。体調の悪さなど吹き飛ぶようなワクワク感で胸がいっぱいになる。で、(供養塔)で後部に繋がっていた釣り人と別れ三人だけとなった曳舟は無人の(エゴ)を通過して、いよいよ待望の喉っ首に差し掛かった。そして気分が最高潮に達しようかとしている時、奇妙な光景を眼にする。前方を二艘の舟が横切ったのが見えたのだ。
あれはなんだ…?。
この時はこれが何のことかわからずにいたが、のちに嫌というほどに思い知らされることになる。
そして後ろ方の目的地である(アンテナ下)に着いたわけだが、なんと、先ほど見かけた舟が湾処の主要ポイントを占めているではないか。
なるほど、こういうことだったのか…。
改めて知ったことだが、ここいら一帯のポイントはレストハウスさんだけでなく、他の釣り舟屋からも自由に往来できるようだ。で、それに消沈したか、後ろの方はわたしらの目的地である(高松)には同道せず、無人だったエゴに戻ってゆかれた。ここからはわたしと前の方だけとなり、間も無く、待望の高松に着いた。高松は本湖に面しているのかと思っていたが、然にあらず、七、八人が舟を並べることができるだけの小さな湾処だった。

初めて来た高松。
この高松をたった二人で平和に迎えることができた。
いつか来たいと思っていただけに、ここへ来れた喜びは大きい。
とりあえず、湾処の両端に張られたロープの中央あたりに舳先を結び、慎重に舟尾に竿掛けを取り付ける。そしてこれから起こるであろうあれこれを想像して、ひとり悦に浸っている時だった。その喜びが木っ端微塵に吹き飛ばされるようなことが起きた。予想だにしない出来事に遭遇したのだ。
それは竿の穂先に仕掛けを結んでいる時だった。
突然。何処からともなく他国船籍の曳舟が現れるや、後方に繋がっていた釣り人が勇んで、こちらに向かって漕ぎ出してくるではないか。その数、ざっと六、七名。
オイオイッ!、これは何事だ!。
まるで大型のヘリコプターからパラパラと降下し始めた落下傘部隊にでも襲われたかのよう。で、一瞬にして彼らに呑み込まれてしまった、わたし。
平和なひと時は、一転窮地に陥った。
このようなことになるとは思いもよらなかった。それだけに、陣をロープの中心部に構えたのが仇となった。彼らはわたしより人生の先輩たち。故に、いちように声が大きい。わたしを挟んだその大声で、丁々発止をされてはかなわない。
嗚呼、なんたることだ…。
未知が招いた事とはいえ、我が身の不幸を思う。
せっかくの高松であったが、これは離れざるを得ないだろう。
泣く泣くロープを解くハメになった。

広い湖面を流離う、わたし。
さて、どうする…。
できることなら、さらに本湖の方へと舟を進めたいが、それはできない事情がある。肝心の兵糧がないのだ。昨夕から腹に何も入れてないだけに、出航前、女将さんに依頼した出前の弁当だけが唯一の糧だ。その弁当を、本湖に持ってきて、とは頼めるはずもない。弁当を理由にポイントを選ぶのもどうかと思うが、こればかりは仕方がない。
そこで敢え無く、来た途を引き返すことにしたのだが、例のアンテナ下はというと、あの時のままでいる。右側の隅っこがぽっかりと空いている。あそこに入りたいとも思うが、先ほどの方が戻ってゆかれた、エゴも捨て難い。
エゴと言えば、いつもお世話になっている横浜の名人のホームグラウンド。名人はここを拠点に相当数の魚を釣るだけに、今後のお付き合いを考えると、アンテナ下よりエゴを経験しておいた方がよいだろう。

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本日の入釣場所の正面図。

 
マークした地点は大まかです。
正確性は欠如しております。
Yahoo!地図より。

☻本日の予定。
・目 標/二十枚。
・釣り方/チョーチン両だんご。
・釣り竿/普天元独歩、十七尺。
・浮 子/亀治郎、四番。
・釣り糸/1号。
・鈎 素/0.4号、450粍+600粍。
・釣り鈎/バラサ針9号+8号。
・納 竿/十五時。

六時半。
エゴに陣を構えた。
わたしが到着した時点では二人の方がおられたが、一人の方が竿を忘れたとかで戻られたので、その後釜に入れさせてもらった。その場所はおおよそ湾処の中心部の辺り。思惑が外れて本命場所とはいかなかったが、今日はここで竿を出させてもらう。
で、今回の旅釣りは、今日がチョーチン両団子の釣りで、明日は短い竿を出しての角麩釣りの予定。
過去のチョーチン釣りでは十八尺と十六尺を行ったり来たりしていたが、今回はその中間の十七尺。この竿を選択したのに何か特別の思いがあってのものではない。言うならば、気分転換のようなもの。そして遅ればせながらも、期待を胸に餌を打ち始めたわけだが、どうにも反応がない。いつもは二十分も打てば浮子の挙動に変化が起きるのだが、今朝は微動だにしない。不調が伝えられていても、そこは西湖。容易く動くかと思ったが甘かった。
そんな状況で九十分が経とうかとしている時。本湖の方からひとりの釣り人が現れた。一緒に高松に行かれた方だ。何処にゆかれるのかとその姿を眺めていると不意に、ガタッ!、と不吉な音がしたかと思うや、次の瞬間には、竿が沖の方へと攫われた。餌を打ち始めて以来、一度たりとも浮子から眼を離すことなどなかったが、ただの一度の油断でこうなった。
こんな失態で途方に暮れかけたが、指を咥えて沖へ流される竿を放置しているわけにもいかない。お隣の方の許しを得てロープを解こうとしていると、わたしの窮状を見かねた沖合の方がドジな釣り人の竿を拾ってくださるという。なんだか、申し訳ない気がしないでもないが、これには助かった。
そしてこのご親切な方に御礼を申し上げて、不本意ながらも一枚目を釣ることができた。

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わたしの窮地を救ってくだすった、ご親切な方。

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お陰で事なきを得た、本日の第一号。

正午。
厳しいことになっている。
想像を超えた苦戦を強いられ、すでに戦意は喪失。先ほどから、やめ時の思案ばかりをしている。
その釣況はというとあれから追釣できたのは、一枚のみ。そして浮子が動いた数も両手の指が余るほど。さらにこの悪況に追い討ちをかけるように再び体調が悪化し、二時間ほど前からは無情な風にも見舞われだした。その状況を心配してくれた横浜の名人から、この場所での舟の留め方の助言もいただいたが、それはとてもわたしには真似の出来ない神業のようなもの。さらにお隣の方はというと、苦戦をされてはいるとはいえ時々、竿を曲げておられる。その釣り方を尋ねると10尺竿で二本とのこと。この想像もできない釣り方には、たじろぐしかない。
厳しいとは訊いていたが、ここまでとは思ってもみなかった。
朝の高揚感はどこへやら。完全なるギブアップとなって、一件落着。這々の体で浜へ戻る。

お仕舞い。

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本日の入釣場所を、対岸から見た近影図。

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本日の入釣場所を、対岸から見た遠影図。

☻本日の釣果。
・へら鮒/2枚、
・ブルーギル・3匹。

☻2017年データ。
・釣行回数/6回
・累計釣果/142枚。

※お断り。
この釣行記はiPad等の端末に合わせて編集しています。

2017年7月16日(日) 。
吉右衛門。




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