吉右衛門へら鮒釣り2015

  2017年◎第三回釣行
4月 24日(月)。

戸面原ダム。
西川淵、中島岬突端、上郷ポンプ小屋沖。
戸面原ボートセンター。
天候/晴天のち曇り、無風のち風。
水色/雨後の濁り、水位/減水20糎。 

「ダム湖の端から端を大移動」の巻。

「春の釣り」なる言葉がある。
この言葉。へら鮒釣りと向き合って以来、幾度も耳目には触れてきた筈だが、特に惹かれるものはなかった。しかし言葉とは不思議なもので、それなりの人物が用いると得も言われぬ魅力的な響きをもってくる。
わたしの知人にこの言葉を使いこなされる方がいて、この時期、釣りにゆくたびに短文コメントサイトに、その時の模様を写真付きで送ってきてくれる。
これが文才も含めて、とても魅力的に描かれている。
雨後の週末。ダム湖の水源である上流へ遡り浅場で竿を出された模様が物語というか、ドラマのようになっているのだ。
昨年の今頃のこと。
この方が戸面原ダムの宇藤木川を遡った。そして西川渕の手前でたくさんの釣果を得られた。それに誘われてか、わたしもやってみたくなった。そして偶然にも新宿の名人のご指導を受けることによって、大満足の釣りを成し遂げることができた。
そして今回。夢よもう一度と、いうわけでもないが、ロマンを求めて春の釣りに出かけてみようかと思う。

宇藤木川を遡るべく勇躍、桟橋に立つ。
目的地は昨年と同様、川の上流に位置する西川淵。
今朝は出漁者の大半が人気の上郷方面へ向かうこともあって、こちら方面に漕ぎだすのは、わたしを含めて二人しかいない。
逸る気持ちを抑えて離岸。
同方向へ進む方と宇藤木橋まで呉越同舟したが、こちら方は橋の袂で竿を出すとかで、橋を潜ってからは一人旅。西川淵へと舟を進める。
「ご無沙汰しておりました、西川淵」
とばかり目的地に到着したものの、その途次、もじりは疎か、魚の気配さえも感じることはなかった。

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本日の入釣場所の、正面図。
先鋒、十三尺。

 
マークした地点は大まかです。
正確性は欠如しております。
Yahoo!地図より。

☻本日の予定。
・目 標/二十枚。
・釣り方/底釣り擬き。
・釣り竿/特作伊吹、十三尺。
・浮 子/亀治郎、一番。
・釣り糸/1号。
・鉤 素/0.4号、300粍+350粍。
・釣り針/アスカ針6号+3号。
・納 竿/十四時半。

八時。
宇藤木川、西川淵。
野鳥の囀りを楽しみながら、準備を始める。
このような豊かな自然と触れ合えただけで、朝、早く来た甲斐があったというもの。これで放流べらの数匹でも遊びにきてくれれば、いち日を、のんびりと過ごせる。
今朝の水位は満水。
昨年は60糎の減水で十一尺を振ったことを思いだすと、適竿は十三尺ということになる。が、物は試しと、最近つとに出番の少ない十二尺を取り出してみるも、そのような理由で水深が変わるはずもなく、当然の如く、寸足らず。改めて十三尺を出して、竿掛けに置く。
準備が整い、釣りを始める。
期待を込めて静かな湖面に餌を落としてみたが、何やら不吉な予感。昨年は数投目で浮子の挙動に変化が起きたが、今年は違う。
で、餌を打ち始めて三十分が経とうとしても、微動だにしない。
それでも、そのうちに動きだすだろう、とタカを括っていたが、その気配すらない。こうなると野鳥の囀りがどうだとか呑気なことをほざいていたのも忘れ、不安に苛まれる。さらに出航前。新宿の名人から、並ばないか、とのお誘いを辞退したことを悔やみだす始末。
実はわたし。
最近の釣況を知るにおよび、西川淵附近があまり釣れていないことは知っていた。が、春の釣りなるロマンに惹かれていたのと、こうまで厳しいとは思ってもみなかった。早い話。目算が外れたのだ。僅か三十分あまりで結論を出すのも早すぎる気がするが、今日のこれからを、考える必要に駆られた。
さて、どうしよう。
一、ここに座して放流べらの回遊を待つ。
二、川を下り大曲の辺りで再起をはかる。
三、川を出て未だ無人であろう前宇藤木か杉林で茶を濁す。
わたしが思案できることなど、この程度のものだが、うじうじと考え悩んだ末に出した結論は、一。
なんとも不毛な釣りになりそうだが、ここに来たのも何かの縁。オデコ覚悟で頑張ろう。そう決めた矢先に電話が鳴って、今日という日が予想だにしない方向に進むことになった。
電話の主は新宿の名人。
釣況を尋ねられて現況を話すと、こちらに来ないか、という。
ふたたび誘ってもらえたのだ。名人がおっしゃるには、中島湾処の上流が入れ食いになっていて、周囲には誰もいないとのこと。おそらく名人は、わたしがこういう事態に陥っていることを察知していたに違いない。
ありがとうございます。
名人の気持ちが嬉しく、とてもありがたい。が、おいそれと、二つ返事で、ゆきます、と答えるわけにはいかない。
この戸面原ダムの流入河川は二本。
名人が入れ食いになっている西南域から流入する湊川と、わたしが沈没しかけている東域から流入する宇藤木川がそれだ。
そして互いが両川の上流に陣を張っているわけだから、名人の所へ駆けつけるのは並大抵のことではない。花も嵐も踏み越えなければならない。
滅入るものがあった。
果たして、ダムの端から端までを漕いでゆくかどうか。
ちょっと考えてみたが、ここはゆくしかないと思う。
名人のお気持ちもだが、ここには野鳥と蛙しか生息していないのだから。

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移動図。
Googleの地図を引用。

九時半。
中島湾処突端。
やはり移動はきつかった。
これは滅多にない経験と、ストップウォッチを使って計測してみたが、移動に要した時間は三七分だった。
常日頃、いかに怠惰な生活をしているかが身に染みた。艪を漕ぐ手が重くなり何度もへこたれた。適当な寄港地に錨を降ろして、宙釣りに切り替えようかとも思った。それでもやり遂げたのは、多少なりとも男と云うか根性が残っていたと云うことか。
名人は突端の向こう側で竿を振っていた。
わたしが到着してからも幾度となく竿を曲げている。
早速、名人に指示を仰ぐと、名人の並びか突端の手前かで十尺竿を出すように言われた。それなら、と躊躇うことなく昨夏に経験した突端の手前側を選択したのだが、この選択が、凶と出た。
わたしは昨夏、ここで苦渋を味わった。
底を計測することに途方もない時間を割かれた。あの時、出した竿は満水で十五尺。その時の模様は鮮明に覚えている。で、昨夏の場所から適当に離れて舟を留めたものの、何処に竿を入れてもギリギリで届かない。何かの加減でトップの先端が顔を出すこともあるが、大概の所では見え隠れか水没してしまう。舟は何度も留め直したり若干の角度変更もしてみたが解決するに到らない。
そこで思い切って竿掛けの方向を45度に転回してしてみると、上手く収めることはできたが、その格好があまりにもアクロバチック。これでは長く続けることなどできやしない。
さらに竿も十一尺、十二尺と小刻みに長くしてみたが、どうあがいても同じことだった。

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本日の二度目の入釣場所の、正面図。
この写真は撤収前に撮った。

 
本日の二度目の入釣場所。マークした地点は大まかです。
正確性は欠如しております。
Yahoo!地図より。

十一時。
奮闘すること、九十分。
何ということはない。あの夏の悪夢を再び味わって、のたうちまわっている。
わたしは何をしているのか…。
考えてみたら、今日のわたしは西川淵で四五分しか竿を出していない。ここに測量に来たわけではあるまいし、
もう底になど、届かなくてもよいっ!。
ヤケッパチの天使になって再開を果たすが、直ぐに嫌気が差す。やはり、しっかりと計測ができていないと気持ちが悪い。そこで止む無く、さんたび、十三尺を出して打開しようとするも、またも届かない。
結論がでた。
想像するに、この湖底の地形は45度以上の急斜面ではなかろうか。だとすると、いくら竿を長くしたとて、永遠に底には届かない。残す手立ては舟を斜めに固定して、できるだけ浅瀬に近づけるしかないが、わたしには、その技術がない。
参った。
そして、撤収が頭に浮かんだ。
寂しい話だが、ここはわたしの手に負える場所ではない。
折角、呼んでいただいた名人には申し訳けないが、
もうやめよう…。
意気消沈していると、横浜の名人が電話をくだすった。
釣況を話すとオデコなことに驚かれ、ポンプ小屋の沖合にある立木への移動を勧めてくれた。さらに、その場所がわからない旨を申し出ると、ご丁寧に教えてもくれた。どうやらわたしの真正面の立木群がそのようだ。が、すでに気力が尽きている。そこで今日はこのまま終わる旨を伝えると、残すは、新宿の名人に礼を尽くすことだけとなった。
そして新宿の名人へ連絡。
技術の問題で舟を上手く留めることができず撤収する旨を話と、ひと言。
「それは、ごめんなさいね」などと言わせてしまった。
これは拙かった。
名人に言わせてはいけない言葉を口にさせてしまった。いつも優しい名人に申し訳ない。
「いやいや、わたしが下手なばかりにすみません」
こう言って繕うと、こうも言ってくれた。
「ポンプ小屋の立木にゆきなさいよ」、と。
新宿の名人からも、ポンプ小屋の名前が出た。
お二人とも、何とかわたしに釣らせようと気を遣ってくださる。
ありがとうございます…。
これはもう最後の力を振り絞って、征くしかないだろう。

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本日三度目の移動先の、正面図。
背景にちょこん写るのが、新宿の名人。

 
本日の三度目の入釣場所。マークした地点は大まかです。
正確性は欠如しております。
Yahoo!地図より。

十三時。
上郷ポンプ小屋沖の立木群。
本日ただ今の釣果、零。
最後の決戦に挑む。
わたしの今の舟の留め方は間違っている。
名人からは舳先を一番長い竹に結び、向きは面積の広い方へとの説明を受けた。が、そうは収まらなかった。減水が舳先を竹に結ぶのを阻んだ。しかたなく、教科書通りに留められないならと、名人を向いての方向で舟を留めた。
さて準備が整い、最後の地での餌打ちを始める。
残す時間は一時間半。
浮子の下に魚が居ればよいのだが…。
そんな願望も虚しく無反応。それに呼応してか、風が意地悪く正面から吹きさらす。それでもめげずに餌を打ち続けると、
やった!。どうにか放流べらを釣ることができた。
時間を確認すると、十三時半。これは西川渕から数えて、五時間半でのこと。途中、大移動もあっての長い道程だったが、どうにか本懐を遂げるとこができた。それに名人たちのご好意に報いることも叶った。が、安堵ばかりもしていられない。もう少し釣らねば、カッコがつかない。
放流べらもやってきたことだし、餌を打つ手に力が入る。
しかし、後続は来ず。どうやら先ほどの魚は、はぐれべらのようだった。そして、二枚目がやってきたのは、三十分後。今度は団体さんで、怒りの三連荘。
こうなると面白くなって、遊漁料をもう一日分払うから、と時間の延長を申し出ようとするも、そんなみっともない真似はできる筈もなく、一件落着。
名人達の励ましで、どうにかオデコを逃れることができた。

お仕舞い。

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本日の第一号。
苦節、五時間半での釣果だった。

☻本日の釣果。
・へら鮒/9枚、

☻2017年データ。
・釣行回数/3回
・累計釣果/110枚。

※お断り。
この釣行記はiPad等の端末に合わせて編集しています。

2017年5月3日(水) 。
吉右衛門。




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