吉右衛門へら鮒釣り2011

  ◎第一回釣行
04月08日(月)

戸面原ダム。
杉林・前宇藤木。
戸面原ボートセンター。
快晴、微風。
気温/16度、水温/13度、水色/茶褐色、減水/零、。   

初釣り、の巻。

へら鮒釣りを再開して七年目の春を迎えた。
今オフの事だ。
昔の事を回想記として一本の記事に纏めてみた。それを編集するのにあたって、曾て所属していた釣り会の会報を引っ張りだしてきて資料にしたのだが、書いていて気づいた事があった。
それは、うやむやだった前回釣りをヤメた時期が1.982年であったことがはっきりしたのだ。ということは再開した2.007年とのブランクは二五年だったことになる。
どこでどう間違えたのかは覚えていないが、今日まで世間さまに「三〇年ぶりの再開」と吹聴してきたのは誤りであった。
どうでもよいと言えばどうでもよい事なのだが、この釣行記でも散々、三〇年ぶりと書いてきただけに訂正せねばならぬだろう。
ごめんなさい。
ブランクは、二五年でした。
本日以降、「二五年」と改めます。
さて、冒頭において、「七年目の春」として書き出したのだが、ここにきて困ったことがある。それを何と説明したらよいか悩むのだが、ひと口に言うならば、「釣行意欲に翳りがみえてきた」とでも言えばよいのか、段々と腰が重たくなってきたのだ。
過去の釣行回数を並べてみるとよく分かるが、二三回、三三回、二七回、十九回、九回、八回と昨今、急激に落込んできた。
何が原因なのだろうか。
その一番は病気の再発に因る行動制限なのだが、もうひとつ考えられるのは、老いが忍び寄ってきたことだ。再開当初のように県外へ遠征するのは億劫だし、週の半ばに出向くのも身体が堪えるようになってきた。そして寂しい事に気力も萎えてきたのだ。
そんなわけで、先細り感が否めなくもないが、折角、再開した大事な趣味だし、多少の人間関係も出来てきた。そして何よりもこの釣行記があるので、続けられるうちは頑張りたいと思う。

午前五時四五分。
戸面原ダムボートセンターの桟橋に立つ。
出漁する同業者の数は十名。この他にも事務所で食事をしていた方を幾人も見かけたから、今朝の出漁者は二十数名だと思う。
最近の釣況は絶好調らしい。
センターの管理人、相沢さん曰く「バクバク」とのこと。
しかし、先ほどから気になっているのは濁り。一昨日から昨夜にかけて通過した爆弾低気圧とやらの影響で水色が茶褐色に染まっている。朝、戸逆橋を渡ってきた時にも気づいたのだが、いざ、こうして目の前にするとその濁りようは可成りのものだ。
「濁った時は底」との定説があり、相沢さんからも「宙釣りはダメ」と助言をいただいたのだが、オレが目指す目的地は宙釣りの聖地、杉林。
濁りという思わぬハンデキャップを背負ったが、過去にもこのような状況で釣果を得た事があるし、何よりもこの好釣感が補ってくれるだろう。
そして自分には、「初釣りは杉林」との不文律がある。
この不文律があるからこそ、今朝は珍しく出舟時間にやってきたのだ。

さて出航。
四番手で舟を漕ぐ。
先往く舟は何処に向かうのだろう…。
櫓を持つ手に力をこめれば、抜き去ることも出来なくはないが、それはオレの生き方に反するからやらない。万が一、売り切れでもしたら仕方がない。その時は進路を前宇藤木にとるつもりだ。
しかし、そんな思惑は余計な杞憂であった。先発隊は杉林には目もくれず、鎌の鼻から取梶をきり上流へと向かっていった。

今年も無事、杉林を確保出来た。
着舟を終え、仕掛けを作りながら思う。
昨年は不漁だった。
合計釣果が四九枚(釣行回数八回)でしかなった。オデコも三回あったし、幾らマイナーポイントを渡り歩いたとはいえ、呆れ返るような成績であった。
先週の事だ。
大手取引先の御担当者と商談を終えたあと、釣り談義になった。
その方は大口バスを獲物として狙っているのだが、この時期についての期待をこう語ってくれた。
「この時期は暖かい雨が降ると公魚が遡上するのですよ。その時が狙い目でね…」
満面の笑顔で語るものだから、つい引き込まれてしまった。
今日は、その日にあたる。
あまり暖かくはなかったが、降雨の後だ。
それだけに、期待は大きい。
そこで今日の目標は、大きく五〇枚にしようと思う。
これは、昨年の鬱憤を晴らすかのような数字だ。
そしていつも慰めてもらうばかりの相沢さんご夫妻が待つ桟橋に凱旋し、「五〇枚、釣った!」と握り拳を高々と挙げるのだ。

釣行記写真
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本日の入釣場所の、正面図。
水色は、茶褐色。

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同上、魚眼レンズで撮る。
この塵には悩まされた。

◯本日のデータと予定。
・目標/五〇枚。
・竿 /朱門峰凌、19尺。
・浮子/忠相グラスムクトップ、14番。
・鉤素/100粍+600粍。
・餌 /蛹爆弾+α21。
・納竿/十五時。

午前六時四〇分。
仕掛けが出来た。
お神酒を買ってくるのを忘れたが湖面に向かい、今年一年の安全と戸面原ダムボートセンターの発展を祈年して、軽く一礼。
空かさず第一投を投入し、2013年の初釣りが始まった。
半年ぶりの釣りに期待は昂なったが、十分、二十分、三十分、と時が経つにつれ漠然たる胸騒ぎを覚える。そしてそれが、六十分に達すると、濁りは好釣況との相殺で何とかなると思ったのが、とんでもない目論見違いと思えるようになってきた。
別にタカを括っていたわけではないが、浮子の動きがあまりにも素っ気ない。生き物の存在しない茶褐色の水溜まりで釣りをしているような気さえもしてきた。
百二十分が経った。
「目標、五〇枚」と言ったのが恥ずかしい。穴があったら入りたいような心境だ。
それでも、何かとしなくてはならないだろう。
濁りは深くにいくほど、薄まらないか…。
自分に都合よく考えて、竿を延長しようとも考えたが、頭上の樹木がどうにも邪魔だ。それでは、と鉤素を500粍+750粍に換えてみた。しかし、そんなことをしたところで、なんの足しにもなりはしなかった。

午前九時。
段々と、心に動揺が出てきた、
それと同時に、対岸の隧道湾処が気になりだした。
「初釣りは杉林」なる不文律への思いもあるが、こうして朝早くきて律儀に糸を垂らしたのだから、もう義理は果たしただろう。
それに瞼を閉じてこの先の展開を想像しても、釣果に浮かれる自分の貌を思い浮かべることが出来ない。
これが、真夏の前島であればいい。
好き好んで魚影の薄い処に挑むのだから、釣れなくもへっちゃらだ。
しかし、今日は、初釣りの日。
いくら何でも、この日を、オデコにするわけにいかない。
オデコにでもなろうものなら、弱気の虫が大音声で哭きだしそうだ。そうなれば今回の釣りが、今年、最初で最後の釣りにもなりかねない。そう、前文でも書いたが釣行意欲が減退しつつあるだけに、危険信号が灯るのだ。
隧道湾処かその手前の馬ノ背にでも、移動をするか…?。
どちらも底釣りということになるが、昨年、第1カーブで擬きとはいえ経験も積んだし、なんとかなるだろう。
問題は水深だ。あまり深いと対応できる浮子の持ち合せがない。
とりあえず、相沢さんに電話で訊いてみよう。
吉「杉林で19尺を振っていますが、浮子が動きません」
相「朝も言いましたが、この濁りで宙はダメです」
吉「隧道湾処か馬ノ背に移動したいのですが、何尺でしょう」
その時、ちょっと遠いが左右前の三カ所でモジリがあった。
吉「アッ!、今、モジリが三カ所で同時発生しました」
相「19尺の層に魚は居ません。13尺にしてみてください」
更に相沢さんが続ける。
「それと隧道湾処は寒いですし、馬ノ背はダメでしょう」
思いがけない答えが返ってきた。
深い棚と決めつけたのは、どうやら間違えのようだった。
そこで仕掛けを13尺に換えていると、相沢さんが電話をくれた。
「十時まで粘ってダメなら、前宇藤木に移動してみてください」
これは貴重な情報をもらった。
本日の第二候補であった、前宇藤木が空き家で残っていたのだ。
相沢さん。貴重な助言と情報を、ありがとうございました。
13尺で再開。
再開はしたが、心は既に新天地に向かいだした。そしてそれに拍車をかけるように、塵が大挙して押し寄せてきた。
三十分が経過しただろうか。
十時などと悠長な事は言わないで、今、直ぐに移動しないか…。
相も変わらぬ浮子の動きに己を急き立てていると、上流から移動者が現れ、南郷岬から陸沿いに舟を漕いで往く。向かう先を目で追っていたら、矢張りだ。
隧道湾処が売り切れた。
この移動者の行為が、決断を促せた。
さっさと、新天地へ向かおう!。

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さらば、杉林。

午前九時四五分。
前宇藤木地区に着いた。
前宇藤木湾処の手前も向こうも空いている。
向こう側は日陰だから寒そうだ。そう考えると手前側という事になるが、こちらは二年前に大釣りをさせてもらった場所だけに、その栄光をオデコで汚すのには躊躇いがある。
そんな事をウジウジと悩みながらも、湾処の向こう側を選択して舟を着けた。

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二度目の入釣場所の、正面図。
画面下半分が暗いのは、日陰のため。

・竿 /朱門峰凌、13尺。
・浮子/忠相グラスムクトップ、10番。
・鉤素/300粍+600粍。

午前十時。
ちょっと寒いが仕方がない。
新天地での第一投。
欲目かもしれないが、浮子の沈下運動に「間」があるようだ。
これは期待がもてるかもしれない…。
移動したことが心機一転となって、朝の情熱も甦ってきた。
しかし、十分、二十分、三十分と時が経つにつれて判明したことがある。浮子の沈下運動に、間などは存在しなかった。あれは錯覚というか、欲目以外の何ものでもなかった。
ここもダメかあ…。
それがわかると、早くもやる気が失せてきた。
魚が釣れないので、ここで前宇藤木地区における漁師の配置状況を書き留めておく。先ずは南郷岬付近に一名と向田入口に二名、そして真正面の向田湾処にも二名いて、最後に流れ者のオレがいる。この合計六名がこの地区の状況だ。

釣行記写真
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前宇藤木地区の、周辺図。
魚眼レンズを使って撮った。
赤丸印に漁師が存在している。
向田入口では二艘の舟が連結されていた。
手前右下にみえるのが、私の竿。

南郷岬は分からないが、向田の四名は底釣りに興じている様子。
暫く観察をしていると時折、竿が曲がる。
釣れているんだ…。
今日は自分にとって厳しい日だが、全体としては、好釣感が維持できているのかもしれない。
そして改めて、茶褐色に染まった湖面を見つめながら思う。
考えるまでもない。
オレの釣りななんて、運否天賦そのものだ。
釣りのスキルが低いから、臨機応変に対応することができない。
そのために、釣況と日和と混雑具合で、その日の運命の九割方が決まってしまう。
それと釣れているポイントに、後発で割って入るのも苦手だ。
今も対岸に漕いでいって、「入れてくださーい」と言えば、少なくともここで粘るよりもずっと可能性は広がるのだが、それができない。これは釣りだけではなく、生き方の問題なのだ。
それでも昨年まではどんな状況下におかれても、堪え難きを耐え忍び難きを忍んで、粘りと頑張りで不足しているスキルを補ってきた。しかし、その肝心要の気力が萎えてきた今は、頑張る事、努力する事のすべてが空しく感じられる。
こんな風に悲嘆に暮れていたら、随分と時間が経ってしまった。

午前十一時。
本日ただ今の釣果、零。
納竿予定時間の十五時迄は四時間。
再度の移動を考えるのであれば桟橋を横目に長駆、上郷まで足を延ばすか、宇藤木橋を潜り川筋を遡上するかだが、そのどちらも先の状況がわからない。今朝、見かけた二十数名の漁師のうち、この辺りに陣取る六名以外の消息が不明なのだ。上郷は相沢さんに電話で訊けばよいのだろうが、もう一度電話するとなると厄介者扱いされそうでなんとも訊き辛い。そして、川筋も第1カーブより上流は地形すらがわからないから、おいそれと出向くわけにはいかない。
それにだ。
釣り竿を持ってほっつき歩く、自分が可哀想だ。
そうなるとここで頑張るしかないのだが、もう宙釣りが無謀だと身に沁みた今となっては、まぐれでさえも釣れる気がしない。
滅入るものがあった。
帰路の館山道での嘆きぶりを想像すると、なんとか一矢報いたい気持ちはやまやまだが、もうどうしようもないだろう。
何とも寂しい初釣りとなったが、ヤメにするか…。

正午。
しんと静まり返った桟橋に戻る。
このあと事務所に立ち寄り挨拶をするのだが、そうするのには時間が必要だった。
そして、無人の桟橋の隅に腰をおろし、一日を振り返る。
自然はいつものように迎えてくれていた。
雲ひとつない青空に鳶は舞い、野鳥の囀も賑やかであった。
昨年までならそれだけで満足していたのに、今日はどうしたものか、そちらには気がいかない自分がいた。
思惑と違った釣況に焦り、何かに急き立てられているかのような切羽詰った気分だった。
別に初釣りだからといって気張ることも、力む必要もなかった。
憩いを求めにきている筈が、柄にもなく釣果を求めてしまった。
いつものスタンスとはかけ離れた、寂しい釣りをしたものだと思った。
そんな過ちに気づいたら、気が楽になった。
そして呼吸を整え事務所へ挨拶に出向き、オデコであったこと報告すると、「ハウス裏でもう一戦やらないか」と誘ってくれた。尚かつ、セッティングも手だってくれるという。
魅力的な話に一瞬心が動いたが、そこまでしてもらうわけにはいかない。
相沢さんの優しさに深謝して、一件落着。
帰路に就く。

お仕舞い。
○本日の釣況。
・06:40~08:50、19尺天々/0枚、グルテンセット、
・09:00~09:15、13尺天々/0枚、グルテンセット、
 前宇藤木へ移動。
・10:00~11:20、13尺天々/0枚、グルテンセット、
・合計 零枚。

○この日の釣果データ。

釣行記写真
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戸面原ダムボートセンター、ホームページより。

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○2013年データ。
・釣行回数/1回
・累計釣果/0枚、平均/0枚。


2013年04月25日(木) 。
吉右衛門。



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